給与計算ソフトでは
- 割増賃金を支給するか、しないか
- 割増計算にどの支給項目を含めて計算するか
- 端数処理はどうするか
を決めなければなりません。
このページでは、以上の設定ができるよう、割増賃金の仕組みや計算方法を解説します。
割増賃金の支給要件
割増賃金は以下の場合に支給しなければなりません。
- 1日の労働時間が8時間を超えた場合、又は1週間の労働時間が
40時間を越えた場合 - 深夜(午後10時から午前5時)に労働させた場合
- 1週間1日の休みもなく働いた場合
ただし、実際問題として、支給すべき割増賃金を払っていなかったり、残業時間の上限等を設け一部しか払っていない会社が多数存在しております。
1.時間外割増賃金
1日の労働時間が8時間を超えた場合、又は1週間の労働時間が40時間を越えた場合は、超えた労働時間に対し時間外割増賃金(残業代)を支払わなければなりません。
時間外割増賃金は以下の通り計算します。
1時間当たりの賃金×1.25×超過労働時間数
2.深夜労働割増
深夜(午後10時から午前5時)に労働させた場合は深夜割増賃金を支払わなければなりません。
深夜割り増し賃金は次の通り計算します。
1時間当たりの賃金×1.25×深夜労働時間
この深夜労働が同時に上記1の超過労働時間に該当する場合は
1時間当たりの賃金×1.5×深夜の時間外労働時間数
を支給しなければなりません。
3.休日割増賃金
1週間(通常は日曜から土曜)1日の休み(祝日も含む)もなく働いた場合、最後の土曜日の労働に対しては、休日割増賃金を支払わなければなりません。支給額は、
1時間当たりの賃金×1.35×休日労働時間
この休日労働が深夜時間に行われる場合は
1時間当たりの賃金×1.6×休日労働における深夜労働時間数
を支給しなければなりません。
※)1~3の数式中の数字1.25、1.35、1.5、1.6は、法律では1.25以上、1.35以上、1.6以上です。ただし殆どの会社では、最小限の数値を用いて計算しております。よって、ここでも最小限の数値を利用しました。
1時間当たりの賃金の計算方法
月給制の場合
月給制の場合「月給÷1ヶ月の平均所定労働日数」で1時間当たりの賃金を求めます。
1ヶ月の平均所定労働日数は以下のとおり求めます。
(365-年間休日数)×1日の所定労働時間数÷12(月)
日給制の場合
日給制の場合「日給÷1日の所定労働時間」で1時間当たりの賃金を求めます。
割増賃金の計算から除く手当て
労働基準法では以下の手当て以外は割増賃金の計算の対象に含めなければならない、と定められています。
- 家族手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 別居手当
- 臨時手当
- 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
だたし、給与計算ソフトでは、割増賃金の計算に含める手当てを自由に設定する事が出来ます。これは多くの会社が、法律に基づかない計算方法で割増賃金を計算しているからではないでしょうか?
割増賃金の端数処理
労働時間の端数処理
割増賃金を計算する際の労働時間に端数が生じる場合の処理方法は以下の通りです。
・1日単位で端数処理してはいけない
・1ヶ月の集計後において1時間未満の端数が生じる場合は
・30分未満を切捨て
・30分以上を切上
とします。
給与計算ソフトの設定では、残業開始時間や終了時間の切り捨てなど法律以外の設定も可能です。
賃金額の端数処理
1時間当たりの賃金の計算や、割増賃金を計算する時、計算結果に1円未満の端数が生じる事があります。この端数処理については法律で以下のとおり定められています。
・50銭未満は切捨
・50銭以上は切上
ここも前ほどと同様、給与計算ソフトでは「1円未満は切捨て」など法律以外の設定も可能です。