給与の支給項目は会社によって色々です。以下を参考に、貴社の支給項目を決定してください。
諸手当を設ける意義
多くの企業が、基本給とは別に数々の手当を支給しています。例えば家族手当、住宅手当、役付手当、残業手当などです。毎月支払するそれら諸手当の合計金額は、平均すると月例給与の2割に相当すると言われています。
給与をこのように多くの手当に分けて支給するには、重要な理由があります。
- 会社の業績不良などのため賃金の削減が必要な場合、基本給の引下は(裁判上)認められない事が多いが、諸手当については改定・廃止が比較的容易である。
- 賞与や退職金は基本給をベースに計算する事が多ため、賞与・退職金を削減できる。
- 社員のライフステージに合わせた柔軟な給与設定ができる。
他社が導入しているからとか、前の会社が導入していたからとか、親会社がこうだからと安易な理由で項目を設定すると、貴社の給与と合わない給与体系が出来上がってしまう可能性がありますので、十分考えた上で決定して下さい。
主な手当とその内容
固定的手当
固定的手当とは毎月定額で支給され、月によって変動しない給与項目です。
基本給各従業員の給与の基本となる部分です。一般的には勤続年数や職務遂行能力、職務の難易度・責任度、職種、勤務形態などに応じて決定します。
役職手当部長手当、課長手当など管理・監督者に対して支給される手当です。目安は残業手当に見合う分として基本給の15%、部下との付合などにかかる実費弁済分として5%、合計で基本給の20%程度が適当かと思われます。また労働契約書又は就業規則に、残業手当として何時間分の残業が含まれるか明記する必要があります。
担当する職務に対して支給される手当です。高熱、寒冷、危険、有害など劣悪な条件の作業に対する特殊作業手当、警備などの通常とは異なる勤務に対する特殊勤務手当および医師、看護婦、ドライバー など一定の資格を要する仕事に対する技能手当などが含まれます。
資格手当仕事に役立つ公的資格を所持している社員に支給する手当です。金額的には数千円から数万円の範囲が一般的です。
営業手当外回りの営業担当者に支給する手当です。残業相当の賃金を含めて営業手当を支給する会社も多くあります。ただしこの場合は、労働契約書もしくは就業規則に何時間分の残業代が含まれるか明記する必要があります。
住宅手当一般適に賃貸住宅を借りている社員に対して生活補助として支給される手当です。また住宅ローンを支払い中の社員にも支給する会社もあります。残業手当の計算に含めない為にも一律で支給するのではなく、賃貸料の何%、又は賃貸料が幾らから幾らまでは何円と決めて支給するべきです。
家族手当扶養家族の人数によって支給される生活補助目的の手当です。 通勤手当 会社への通勤に要する費用に対して支給する手当です。殆どの会社が支給しています。
変動的手当
変動的手当とは、給与の支給の都度金額が変動する給与項目です。

残業手当ともいいます。法律上では、1日8時間、週40時間を越える労働をさせた場合に支給しなければなりません。
深夜労働手当深夜(法律では午後10時から午前5時の間)に労働させた場合に支給する手当です。
休日労働手当1週間休みなく働かせた場合の最後の日に対して支給しなければならない手当です。
皆勤手当出勤促進の狙いをもった手当です。ただし本来は出勤するのが当然であり、近年支給する会社は減りつつあります。
手当項目の注意点
「欠勤控除」「遅刻・早退控除」は「控除」であっても、給与計算においては支給項目に含めて計算します。理由は社会保険料や税金は、これら「控除」を減額した額を元に計算するからです。給与計算ソフトの設定でも「手当項目」で設定します。
諸手当の最近の傾向
最近のベンチャー企業では住宅手当や家族手当などの生活補助的な手当を支給しない会社が増えています。私見としては大賛成です。賃金とは本来「労働の対価」であるべきものです。同じ仕事や成果なのに家族がいるだけで給与が高いのは「不平等」だと思います。家族が多い人はその分成果を出し、結果として多くの給与を貰うべきだと思います。